スーツケースのTSAロックは必要?不要?
最近よく耳にする「 TSAロック」。どこのスーツケース売り場でも「 TSAロック搭載!」をやたら売りにしてるけど、それって一体何?便利なの?必要なの?
そんな疑問を解消すべく、「TSAロックとは一体何なのか?」から掘り下げて、使用している人たちの実体験から「必要?不必要?」を導き出していきます。今あるスーツケース、もしくは今後の新規購入の際にきっと役立つことでしょう!
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TSAロックとは?
TSAロックは、米国の運輸保安局によって発案された「ロックシステム」です。赤いひし形のマークで横の鍵穴にTSAと小さく表記されています。
アメリカでは、同時多発テロ以降セキュリティチェックが強化され、荷物預けの際に職員が中身を入念にチェックしています。そこで「鍵はロックしないで預ける」というのがルールなのですが、万が一ロックしたまま預けてしまうと、TSA職員が「破壊してでも開けて検査する」というのが、なんと容認されているのです!
保守的な日本人がしっかり鍵をかけたまま預けて、壊されたなんて話はよくあること!しかも鍵の修理代って結構バカになりません。
そこで開発されたこの「TSAロック」、特殊なツールを使用してTSA職員が鍵穴からロックを解錠・施錠できるのです。この特殊ツール(マスターキー)を所持しているのは世界でTSA職員だけ。錠前屋も持ってはいません。
要するにTSAロックとは、スーツケースの所持者とTSA職員だけが解錠・施錠できるわけで、渡米の際は、ロックしたまま預けられるというスマートなシステムなのです。
ちなみにTSAロックは、主に「シリンダー(鍵)式」か「ダイアル式」。所有者は付属の鍵か暗証番号で解錠・施錠します。シリンダー式だと同じ鍵穴にTSA職員がマスターキーを差して解錠することになります。
シリンダー式 | ダイヤル式 |
TSAロックは驚くべき普及率で広まり、世界中のスーツケースブランドがこぞって採用しています。「TSAロック搭載!」は売り文句ですらあるのですから。ただし、米国の空港でしか有効でありません。もちろん、米国=ハワイ・グアム・アラスカ・サイパン、その他全てのアメリカ領も同様です。
ただ10年以上前のモデルやヨーロッパの高級ブランド、もしくは格安モデルには搭載されていないこともあるのです。
どうしても不安だ!という人には対策があります。実は、TSAロック搭載の「南京錠」や「スーツケースベルト」が市販で販売されているのです。ファスナータイプなら引き手の穴に南京錠をつければ良いし、ハードフレームならベルトで対応できます。ただしベルトの場合はどっちみちスーツケースの鍵をかけずに預けなくてはいけません。
なんだか便利なのかどうかわからない「TSA」。それって必要?という疑問を解消すべく、もう少し掘り下げてみましょう。
TSAロックは必要?
確かに渡米が多い方にはTSAロックが搭載されているのは便利と言えます。ただ、最近では渡米もしくは米国から帰国の際に「TSA搭載でもロックをかけないでください!」と注意を受けることが頻繁にあるのです。
それでは何のためのTSAやら!?そもそもロックの種類はTSA001〜011まであり、対応している番号のマスターキーを係りが持っていなければ壊される場合があるというではないですか!
また2015年に、マスターキー画像が流出して3Dプリンターで複製可能になったという事件がありました。これではTSAロックも、便利で安全かというと疑問が湧きます。何よりTSA云々の前に、TSA職員によるスーツケースの中身の盗難は、米国でも深刻な問題になってるくらい頻発しています。これじゃあ「ロックしたまま預けれる」以前の話です。
よって、新規購入の際はTSAロックを避けるまでもないけれど、わざわざ選ぶ必要もないということです。
大事なのは「渡米の際はロックをかけない」「盗られないように貴重なモノ(PC・カメラ・金銭的なもの)を入れない」この2点と言えるでしょう。
TSAロック必要派の意見
TSAロックが必要だ!と思われる人の意見を以下にまとめました。
- 日本人は「鍵をかけなくては不安!」そう言った神経質で保守的な性格だから、うっかり解除し忘れる可能性があるので便利だ。
- 日本人はハワイやグアム好き。要するに渡米の機会が多いからあったほうが良い!
- この先テロ対策によるセキュリティー強化は高まり、欧州やアジアでもTSAが適応されていく可能性がある
確かに、TSAだろうがなかろうが「壊される時は壊される」「盗まれる時は盗まれる」わけです。でも、「TSA」と「そうでない鍵」では解除し忘れた時、少なくともTSAのほうが壊される可能性は低いのです。
そう言った意味で「保険」としての必要性を感じてる意見が多いのです。
TSAロック不要派の意見
TSAロックはもう過去のものだ!といった意見も多く聞かれます。それはもうスーツケース販売側ではなく、完全「経験者側」の意見なのです。どのような苦い経験をされ、どうして不必要と思われているのか以下にまとめましたので、ご参考ください。
- TSAロックなのに破壊された。
- TSAロックなのにファスナー部分を切られた。
- TSAロックなのに「ロックをかけるな」と言われた。
- 中にあるものが一部無くなっていた。(盗難の可能性あり)
- TSAは壊れたらなかなか修理ができない。部品のみの入手も困難。
便利である!が売りであるはずのに、これではなかなかの裏切りですね!そう言った意見は基本的には「不満」であり、実は「マイノリティー」な経験談です。
よって例え不必要と感じたとしても新規購入の際に、TSAを避けるまでもなく、前述のように「ロックをかけないで預ける」ということだけが重要なのです。よって、わざわざTSAに固執したり搭載されていない古いモデルに不安を感じる必要はないでしょう。