人気の革靴:コブラヴァンプの魅力と特徴
カジュアル向けな印象の革靴でありながら、I 型(いちがた)スーツにもよく似合うコブラヴァンプ。革靴にこだわる男性たちから非常に人気が高く、クセのあるシルエットの中に履けばわかる魅力が詰まっています。
今回はそんなコブラヴァンプについて、魅力や特徴を詳しく解説していきます。
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コブラヴァンプ(Cobra Vamp)の革靴とは?
コブラヴァンプと呼ばれている革靴は、要するにモカシン縫い以外の装飾を持たず、つま先がやや上に跳ね上がったスリッポンタイプの革靴を指します。モカシン縫いすらないコブラヴァンプはヴァンプローファーと呼ばれることもあります。
コブラファンプはI 型(いちがた)スーツに似合う唯一無二のスリッポンとも言われ、カッチリした服装にもよく合いますが基本的にはカジュアル用の革靴であり、どことなく不良っぽい雰囲気と、無骨で男らしい雰囲気を持ち合わせたワイルドな革靴です。
つま先が尖ったポインテッドトゥに甲の形状が毒蛇のコブラを連想させることでコブラヴァンプとよばれていますが、コブラヴァンプという呼び方以外にも、日本国内では「ヴァンプシューズ(Vamp Shoes)」や「ヴァンプモカシン(Vamp Moccasin)」という呼び名が使われます。
海外ではコブラヴァンプの事を、ベネチア地方の伝統的な手漕ぎボートを連想させるシルエットであることから「ベネチアン(Venetian)」と呼ばれています。
コブラヴァンプ(Cobra Vamp)の魅力
コブラヴァンプの魅力を伝えるなら、メンズクラブと呼ばれるメンズ向けのファッション誌にて1965年に掲載されたVAN REGALの広告コピーが、コブラヴァンプの魅力を完璧なまでに伝えているため引用させていただきます。
「コインシューズでは少しスポーティーすぎる、オカメではオーソドックスすぎる、プレーントゥには飽きが来た。だから、エグゼクティブ・スリッポン、ヴァンプ」。
まさにコブラヴァンプの魅力はこのコピーの通り、コインシューズ(ペニーローファー)では軽くてスポーティーな印象となり重厚感が出せない、かといってオカメ(ウィングチップ)にするのはあまりにも定番というか愚直すぎる、シンプルで格好いいプレーントゥーも飽きてきた、そんな時に活躍する絶妙な革靴こそコブラヴァンプなのです。
コブラヴァンプの持つ魅力を一言で語るのなら、シンプルであるが故の迫力でしょう。
上下にうねるモカシン縫いは、大蛇がうねるかのように曲線的に落ち込み、一般的なローファーには存在しない「ぶっきらぼう」で「ワル」なスタイルがとても魅力的です。
特に、コブラヴァンプは春夏の定番素材と相性がよく、ギャバジンやポプリンといった爽やかな雰囲気のスーツやジャケットにもピッタリとハマる適度な重厚感は、春夏系の軽い素材でつくるファッションにもマッチする、これがコブラヴァンプの魅力です。
コブラヴァンプ(Cobra Vamp)の歴史
コブラヴァンプの原型とも言えるローファーの歴史が始まったのは1926年のロンドン。1936年にはペニーローファーが誕生し、1948年にはタッセルローファーが誕生、そこから30年近くが経過した1950~60年代にてアメリカで大流行したアイビールックに似合う革靴として定着したコブラヴァンプ。
日本国内にも1960年代にアイビーファッションと共に紹介されましたが、アメリカのロカビリーブームを色濃く持った異端児的扱いを受けました。しかし、1980~90年代にかけて日本のファッションシーンでも一世風靡した革靴です。
そんなコブラヴァンプが誕生した時期は定かではありませんが、コブラヴァンプの持つシンプルな構造から判断するに、ドイツで革靴屋が誕生するようになった16世紀の終わり頃から存在しているのではないか?と推測されます。
コブラヴァンプ(Cobra Vamp)の種類
コブラヴァンプには基本的に種類が存在しません。革靴を作る際に使うラスト(木型)や皮革素材によって多少の違いはあったとしても、大きく形状の違ったコブラヴァンプというのはありません。
ただ、あえて言うのであればコブラヴァンプの特徴とも言えるモカシン縫いによる甲のうねりすらなく、またペニーローファーやタッセルローファーのようにストラップや房飾りすらも存在していないようなスリッポンの事を「ヴァンプローファー(Vamp Loafer)」とよび、革靴の中でも唯一コブラヴァンプのという形のカテゴリーに収まるのではないかと考えられます。