コードヴァンの革靴のお手入れ方法
美しい光沢と波を打っているようなシワ感、型崩れしにくい丈夫さから人気があるのがコードヴァンの革靴です。ツヤがなくなりやすい素材ではありますが、手入れをしっかり行うことによって光沢を長い間楽しむことができる革靴です。ここでは『コートヴァンの革靴のお手入れ方法』について紹介していきます。
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コードヴァンの革靴の手入れを始める前に・・・
しっかり手入れを行うのは事前の準備や必要なアイテムがあります。ブラシで汚れを落とすだけだったりクリームを塗るだけでは、せっかくのコードヴァンの良さが損なわれてしまいます。
コードヴァンは丈夫な革素材ではありますが、適切な手入れを行わないと急に裂けてしまったりする難しい革といわれています。しかし使っていくうちに光沢がなくなったりしてきても、しっかりと手入れを行っていくと買った頃のような美しさを取り戻すことができる丈夫な革です。
そういう意味では手入れのし甲斐がある革素材なので、楽しむ感覚で手入れをしていける良い革素材です。
事前にシューツリー(シューキーパー)を入れておく
コードヴァンの革靴はその深みのあるシワも特徴になっているので、手入れの前はシューツリーによってシワを伸ばし適切な手入れを行える状態にします。
単純にシューツリーを入れたほうが作業自体がしやすいですし、クリームなどを塗った時ムラになりづらいので必ず入れるようにしましょう。
コードヴァンの革靴の手入れに必要な道具
しっかりとして手入れをするには相応の道具も必要になってくるので紹介していきます。
- シューツリー(シューキーパー)
シワをなくしクリームなどのムラをなくす為に使用します。 - 柔らかい布(ウエス)
クリーナーやクリーム、ワックスを塗る際に用います。 - 馬毛ブラシ×2
汚れやホコリを落とす為と、クリームを馴染ませる為に使います。2本用意しましょう。 - リムーバー(クリーナー)
靴全体の汚れや余分なワックスを落とす為に使用します。 - 乳化性クリーム
革に栄養を与え、適度な水分・油分などを補給させる為に使います。 - ワックス
革の雰囲気の維持の為に使います。ツヤや撥水性を出すことができます。
以上を用意して手入れに臨みます。
馬毛ブラシは2本必要?
結論からいってしまうと2本必須です。1本はホコリや塵などの汚れ落とし用、もう1本はクリームを馴染ませる用で使い分けます。なぜ使い分ける必要があるかというと、作業がまったく違うからです。
汚れ落としでは掃うような作業、クリームを馴染ませる作業は擦り込むように馴染ませる動きになり、1本で兼用してしまうと汚れ落としの時の小さな砂利などによって傷を付けてしまう可能性があるからです。コードヴァンは丈夫といっても引っかき傷には弱いので、2本用意し余計な傷を付けないようにしましょう。
牛革の革靴の時は豚毛ブラシを使用しましたが、豚毛ブラシは馬毛ブラシに比べて硬い毛質になっています。傷が付く可能性もありますし、コードヴァン表面の毛を立たせてしまい美しさやなめらかさを損なってしまう可能性があります。そういう視点からコードヴァンの革靴の手入れは柔らかい毛のブラシが最適である為馬毛ブラシを使用します。
コードヴァンの革靴のお手入れ方法
コードヴァンの革靴のお手入れ方法は以下の8工程です。傷を付けないように作業するのがポイントです。
では詳しいお手入れ方法を解説していきます。
1.ブラシで全体の汚れを落とす
馬毛ブラシを使って靴全体の汚れやホコリを落としていきます。傷が付かないようにあまり力をいれず、擦るというより払い落とす感覚で汚れやホコリを落としていきましょう。ここでしっかり汚れなどを落とさないと、クリームやワックスを塗った時にムラになってしまうので適当にしないよう注意が必要です。
アッパーとソールの間はホコリが溜まりやすいので忘れずにブラッシングしましょう。ホコリが湿気を吸収しその部分からカビが生えて靴の劣化を早めてしまう可能性があります。
汚れがあまりにひどい場合は、しっかりと水分を絞った布で優しく拭いて大まかな汚れを落としてください。雑にしてしまうと傷が付く原因になるので優しく丁寧に拭いてあげるといいでしょう。
2.リムーバー(クリーナー)を使って汚れを落とす
適量を柔らかい布(古いTシャツやウエス)に取り、靴全体に伸ばすように優しく汚れや余分なワックスを落としていきます。ここでの汚れは上述のブラッシングでは取りきれない油性の汚れや余分なワックスになります。これはリムーバーを使わないと落とすことができません。
あまり多く付けすぎるとシミの原因になる可能性があります。少なすぎも汚れが取りきれないのでいけませんが、多すぎにも十分注意しましょう。特にコードヴァンはシワが深いのが特徴となっており、シワ部分に汚れが溜まりやすいので他の部分よりも入念に汚れ取りを行いましょう。
しっかりと全体にリムーバーを伸ばしたら汚れを拭き取っていきます。汚れが付いた部分で拭いてしまうとその汚れが再び付いてしまうので、きれいな部分を使って拭き取っていくことがポイントになります。傷が付かないように優しく拭くことにも注意してください。
3.乳化性クリームを塗り保革していく
柔らかい布を使って油分が失われやすいシワの部分を中心に乳化性クリームを塗っていきます。ペネトレイトブラシを使用してもOKです。少量のクリームを少しずつ足して塗っていくのがコツです。クリームを使う量は合計で1円玉の大きさ程度で十分です。
円を描くように塗りこんでいき、表面がざらついている部分は特に入念に行いましょう。必要な部分はもちろん全体にしっかり塗っていくことによってひび割れなどを防ぐことができ美しいツヤを出すことができます。
4.馬毛ブラシでクリームを馴染ませ布で拭き上げる
靴全体にクリームを馴染ませる為に2本目の馬毛ブラシを使って優しく全体をブラッシングしていきます。ムラをなくす為に革目やシワに沿って優しくブラッシングしていきましょう。
余計なクリームを取り除くという目的もありますが、コードヴァンの革靴の場合はクリームを擦り込んでいくニュアンスで行うことが大事です。シワ部分はもちろん、縫い目やアッパーとソールの間、ヒール部分にも忘れずに塗りこんでいきます。
塗り込む際には力を入れすぎないようにブラッシングを行いよう注意が必要です。いくら柔らかい馬毛ブラシでもまったく傷が付かないわけではありませんので、なでるような感覚で塗りこんでいくといいかもしれません。
布だけだとシワの部分などに十分にクリームが行き渡らないことがあるので、馬毛ブラシを使うことによって靴全体に満遍なくクリームを行き渡らせることができる大事な作業になります。
全体に塗り終わったら余分なクリームを取り除く為に柔らかい布のきれいな部分で乾拭きしていきます。傷を付けないように優しく拭いていくのがポイントです。ここまで来るとツヤを確認することができるでしょう。
5.ワックスを塗っていく
コードヴァンの特徴である美しいツヤを出していく為に、ワックスを布に適量取りつま先部分を中心に塗り伸ばしていきます。曲がっている部分には薄く塗るようにしましょう。少量ずつ薄く伸ばしていくのがポイントです。
ワックスを塗っていくとマットな質感になりますが、後の工程でツヤ出しを行うので心配しなくても大丈夫です。ワックスが足りないと勘違いして多く塗りすぎるとムラやシミの原因にもなりますので注意しましょう。
ワックスを塗ることによって表面がコーティングされ防水力も付きますが、逆に通気性を悪くしてしまうデメリットもあります。そういう意味でも塗りすぎには注意が必要です。
6.水を使ってワックスを滑らかに均す
水を1滴ほどつま先部分に垂らし、円を描くように磨いていきます。牛革に比べて染み込みが遅いので時間を置く必要はありません。水を使って磨くことによって表面のワックスをなめらかに均すことができ、美しい光沢を出すことができます。
特にコードヴァン用のワックスは、他の革靴のワックスに比べて水分が少ないので水を垂らして磨く作業が重要になります。
当たり前のような作業ですがコードヴァンの特徴である美しい輝き維持するのに重要な役割を持っている作業なので、雑には行わず丁寧にワックスを施してあげましょう。
7.手の平で表面を優しく擦る
ツヤが足りないと思ったら手の平を使って優しく擦ってあげましょう。温めることによって均しやすくなるので更に光沢を出すことができます。
直接クリームのムラを確認することもできるので、べたべた感がなくなるくらいを目安に手の平で磨くとより効果的です。
8.仕上げ
仕上げにきれいな布で乾拭きしツヤを出すように磨いたら手入れ完了です。コードヴァンらしい美しい光沢を感じることができるでしょう。
型崩れを防ぐ為にシューツリーを入れて保管しましょう。木製のものを選べば適度に湿気を吸収してくれるので劣化を防ぐことができます。