牛革の革靴のお手入れ方法
しっかり行おうとすると意外と奥が深くある程度の知識が必要になる牛革の革靴の手入れ。汚れてしまったり濡れたまま放置などをすると劣化が早まってしまいので正しい手入れを施す必要があります。
特にカーフやキップの牛革の革靴は手入れの基本が詰まっているとも言われ、手入れのベースを勉強するにはもってこいの種類であるといえます。ここではそんな『牛革の革靴のお手入れ方法』について紹介していきます。
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革靴の手入れを始める前に・・・
手入れをするには事前の準備や必要なアイテムがあります。単に布で拭いてクリームを塗ればいいというものではないのでしっかりチェックしましょう。
牛革の革靴は手入れの基本が詰まっており、靴の手入れが趣味という人がいるほど手入れは奥が深く楽しいものです。この機会に牛革の革靴で手入れの基本を学んでしまいましょう!
シューツリー(シューキーパー)を革靴に入れおく
これはクリームが馴染みやすいように牛革の靴のシワを伸ばす為に行います。シワがあるまま手入れを行うとクリームを塗った際にムラになり、仕上がった時にシワのあった部分の色が違ってみえたりするからです。きれいな仕上がりにする為にもシューツリーは入れておきましょう。
革靴の手入れに必要な道具を揃える
しっかり手入れを行う為には相応の道具も必要になってくるので紹介していきます。
- シューツリー(シューキーパー)
上述にもありますがシワをなくし満遍なくクリームを行き渡せる為に使います。 - 柔らかい布(ウエス)
クリーナーやクリーム、ワックスを塗る際に用います。 - 馬毛ブラシ
ホコリや塵などの汚れを落とすブラッシングに必要になります。 - 豚毛ブラシ
革目や小さなシワにまでクリームを行き渡らせる為に使います。 - クリーナー
靴全体の汚れやワックスを落とす為に使います。 - 乳化性クリーム
革に必要なバランスの良い水分を栄養を与えツヤを出すために必要です。 - ネル
仕上げなど磨き上げが必要な場合に使用します。 - ワックス
革の雰囲気を維持する為に用います。ツヤや撥水性を施す為に必要です。
以上が用意できたらさっそく手入れをしてみましょう!
牛革の革靴のお手入れ方法
牛革で作られた革靴のお手入れ方法は以下の9工程、簡単に手入れをしたいという場合は5工程まで行えば大丈夫です。
- 汚れやホコリをブラシで落とす
- クリーナーで汚れを拭き取る
- クリームで革靴に栄養を与える
- クリームを全体に行き渡らせる
- ネルで磨き上げる
- ワックスを塗っていく
- ワックスを滑らかに均す
- 手の平で表面を優しくこする
- 仕上げ
では早速、お手入れの方法を解説していきます。
1.汚れやホコリなどを馬毛ブラシを使って落とす
まず最初に馬毛ブラシを使って粗い汚れやホコリ、塵などを落とします。そのまま手入れを進めてしまうと靴についたホコリや塵をクリームやワックスが巻き込んでしまうため、塗る際のムラの原因にもなります。
シワや縫い目だったり、ソールの境目もしっかりブラッシングするのがポイントです。ヒールの部分も案外目立ちやすいので入念にブラッシングする必要があります。
この段階で、革靴自体が泥などでひどく汚れていてブラシでは落としきらないときは、おしぼり程度の水分を含んだ雑巾で革靴全体をまんべんなく拭いてあげても構いません、まずは一度表面についている大きな汚れを落としていくイメージで手入れしましょう。
2.全体にクリーナーを塗り汚れを拭き取る
柔らかい布(古いTシャツやウエスなど)に適量のクリーナーを取り、全体に伸ばすように汚れやワックスを落としていきます。先ほどの行程では革靴の「ヨゴレ」を落としましたが、革靴についている油性の汚れ(主に古い靴クリーム)を落とすにはクリーナーを使用する必要があります。
あまり多く付けすぎるとシミなどの原因になる可能性があります。多ければいいということではないので注意しましょう。
特に、革靴の中でも張り出したコバや履き皺の周辺部分には汚れが溜まりやすくなっているので、全体を手入れするときには気持ち入念に行ってあげると良いでしょう。
全体に塗り伸ばしたら汚れを拭き取っていきます。汚れが付いた部分で拭き取るとその汚れが再び靴に付いてしまうので、きれいな部分で拭き取っていくのがポイントです。
3.乳化性クリームで革靴に栄養を与える
乳化性クリームを布に少量取り、つま先やかかとといったシワが少ない部分から塗っていきます。ペネトレイトブラシなどを使用しても構いません、使用するクリームの分量は革靴片足に対して"チョン”程度の量で充分です。少ないように感じるかもしれませんが、素早く作業しながら革靴全体にクリームを広げていきましょう。
牛革に必要な水分や栄養を与えることによってひび割れを防ぎ、ツヤを出すために行います。全体に薄くムラなく伸ばしていくことがポイントです。
4.豚毛ブラシで乳化性クリームを全体に行き渡らせる
余分なクリームを取り除く為に行います。それに加えて布だけだとどうしても塗りきれない部分が出てくるので、ムラをなくす為にも革目やシワに沿ってブラッシングしクリームを全体に行き渡らせるようにしましょう。
イメージ的には乳化性のクリームを革靴全体に広げつつも、余分なクリームを払い落とすようにブラッシングしていくのポイントととなります、革靴の状態が良ければこの段階でかなり輝きが戻ってきているかと思います。
豚毛ブラシは馬毛ブラシに比べて硬い毛なので、傷が付かないように強く擦りすぎないように注意が必要です。
また、革靴全体の輝きばかりに注力してしまって、ついつい忘れてしまうことも多いかもしれませんが、この手入れをしているときには革靴の縫い目、履き皺、さらにコバなど細かい部分にもしっかりとブラシを入れて手入れしましょう。
ちょっと面倒な作業とはなりますが、ブラシを使用したほうがクリームがダマにならず、美しい仕上がりとなります。
5.ネルで磨き上げる
光沢を出すのに最適なネルを使って全体を磨き上げツヤ出しを行っていきます。イメージとしてはブラシで落としきれなかったクリームを取っていくようにお手入れすると非常に効果的です。ここまですれば、牛革の表面はかなりツルツルとなってきているはずなので、普段のお手入れならここで終わってしまってもOKです。
さらに牛革靴をピカピカにしたい!という人はこの先の手入れも行いましょう。
6.ワックスを塗っていく
ワックスを布に取ってつま先部分を中心に塗り伸ばしていきます。曲がっている部分は薄めに塗っていくのがポイントです。
ワックスを塗っていくとマットな質感になりますが後の作業でツヤ出しを行うので心配ありません。ワックスが足りないと思って多く塗り過ぎないように注意しましょう。
ワックスというのは革靴の表面保護や防水性に優れていますが、革靴に対する通気性は損ねてしまいがち、そのためつま先やかかと、さらにコバのあたりに塗っていくだけで充分です。
7.少量の水を使ってワックスを滑らかに均す
この作業を行う前に、1〜2分程度放置する必要があります。その理由はワックスの中に含まれる溶剤を飛ばして、蝋を固まらせた上で行うことが効果的とされているからです。使用するのは少量の水といっても1滴ほどで十分です。
つま先の部分に水を垂らし、力を入れず円を描くように磨いていきます。この作業によってワックスの表面を全体的になめらかに均すことができ光沢を出すことができます。
なんの変哲も無い作業に思えるかもしれませんが、革靴の輝きを取り戻すためにとても大切な手入れの方法となるので覚えておきましょう。
8.手の平で表面を優しくこする
ツヤが足りないなと思った場合は手の平で優しく擦っていきましょう。ワックスを温めながら均せるのでさらに光沢を出すことができます。
また、手のひらを使用して行うことで、クリームの塗りむらを直接感じることができるようになるため、手のひらで触れて「ちょっと油っぽいかな?」程度の仕上がりを目指して均しましょう。
9.仕上げ
仕上げにもう一度しっかりと磨き上げればお手入れ完了です。場合よっては撥水スプレーをかけることもおすすめです。汚れを付きにくくし水をはじくことができます。
手入れが終わったらシューツリーを革靴に入れて休ませましょう。型崩れを防ぐこともできますし、木製のシューツリーは湿気を吸収してくれるので革靴の長持ちに役立ちます。