革靴に使われる皮革(レザー)の種類
革靴と聞いて思い浮かべる動物は何ですか?牛革や馬革が定番ですが、他にも10種類以上の種類があります。革は動物によって全く異なる特徴を持っています。その特徴を動物の種類ごとにご説明します。優れた革靴は、動物によって異なる革の特性を生かして作られています。
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革靴に使われる定番の皮革素材
革靴に使われる革には、哺乳類・鳥類・は虫類・両生類が主に利用されますが、その大部分は、牛や馬、豚などの家畜の皮革が使われています。これは、食用の動物の副産物として利用してきた歴史的背景があるからです。
特に、皮革の供給量が多く、丈夫で美しい牛革と馬革は、革靴の定番中の定番です。ほとんどの革靴は牛革か馬革で作られています。
牛革(カウレザー)
大昔から最も利用されてきた革素材の代表が牛革です。供給量が多く、丈夫で美しい牛革は、革靴だけではなく多くの革製品に利用されています。
牛革の革靴の特徴は一言では言い表せられません。それは、牛の年齢や性別によって革の質感や耐久性が全く異なるからです。最もよく革靴に利用されているのが「ステア」という種類の革です。
ステアは、生後3~6か月以内に去勢した2歳以上のオス牛の皮です。最もよく利用され、特別な表記のない牛革はこのステアと考えて大丈夫です。一般的な革靴もほとんどがこのステアです。
ステアの革靴は、非常に耐久力に優れて丈夫であり、お手入れも簡単です。去勢された牛ですので暴れることも少ないので傷も少なく、きめ細やかで美しい革靴となります。
>>革靴に使われる牛革の種類についてもっと詳しく知りたい方はコチラ
馬革(コードヴァン)
牛革に次いで革靴で一般的なのが馬革です。馬の革は主に2つの種類に分けられます。
まずは、皮の宝石とも称される高級革「コードヴァン」です。一部の馬の臀部からとれる革であり、採取量が少なく空気も通さないほど緻密で丈夫、美しい光沢が特徴です。高級靴によく使用されており、履きジワが綺麗に、大胆に出るのが特徴的です。
コードヴァン以外の馬革は、ホースレザーと呼ばれます。固いコートヴァンとは異なり、柔らかく手触りの良さが特徴です。靴の裏革によく利用されています。ホースレザーの革靴は、耐久力はやや弱いですが柔らかく、履き心地が良いのが特徴です。
革靴に使われる個性的な皮革素材
革靴には上述した牛革や馬革が一般的ですが、他の動物の皮からも作られています。数自体は少ないですが、知っておきたい革靴に使われる個性的な動物の革をご紹介します。
豚革(ピッグスキン)
日本で一貫して生産できる唯一の皮革「豚革(ピッグスキン)」。ピッグスキンは表面に3つ並んだ毛穴は革の全ての層を貫通しており、通気性に優れている。そのためピッグスキンの革靴も通気性に優れている。
さらに丈夫で軽く、柔軟性にも優れているので、ピッグスキンの革靴は非常に快適です。歩くことが多いビジネスマンの評価が高い革靴です。
鹿革(ディアスキン)
日本では古くから利用されてきた、馴染みの深い鹿革(ディアスキン)。武士の武具や馬具に使われてきた革です。鹿革の革靴は、手触りが良く、足に馴染みやすい特徴を持っています。また、耐水性が高いのも特徴で、雨の日でも安心です。
羊革(シープスキン)
肌触りが抜群で、主に高級衣料に利用されている羊革(シープスキン)。薄くて柔らかいのが特徴であり、強度が必要な革靴にはほとんど使用されません。ただ抜群の肌触りと高級感からムートンブーツによく使われています。
ヤギ革(ゴートスキン)
独特な表面の細かなシボが特徴のヤギ革(ゴートスキン)。革は非常に薄いですが、とても丈夫で緻密な繊維で構成されています。ゴートスキンの革靴は、柔らかく丈夫ですが、型崩れしにくいという特徴を持っています。
イノシシ革(ペッカリー)
イノシシより一回り小さい南米の野生の野豚、ペッカリーの革です。日本ではヘソイノシシとも呼ばれます。豚革と同じように三角形の毛穴が特徴的で、丈夫で柔らかい革質です。ペッカリーの革靴は、通気性に優れ、丈夫で傷がつきにくい特徴を持っています。
象革(エレファントレザー)
象の革も革靴として利用されています。エレファントレザーと呼ばれ、その希少性の高さから一部で高い人気を誇ります。
見た目通り非常に丈夫な革であり、エレファントレザーの革靴は、耐久力が非常に優れています。傷や擦れにも強く、独特なしわが味わい深い革靴です。
革靴に使われるエキゾチックレザーの種類
牛や馬などの家畜以外の、は虫類・鳥類・魚類から得られる皮革を総称してエキゾチックレザーといいます。そんな独特で希少性の高いエキゾチックレザーをいくつかご紹介します。
ワニ革(クロコダイル)
エキゾチックレザーの中でも有名なのがワニ革(クロコダイル)です。独特なウロコ模様が特徴的で人気の高い革靴です。その希少性の高さから、牛革を使って模倣品が作られています。
クロコダイルの革靴は、ビジネスにはもちろん不向きであり、カジュアルスタイルでも履く場所やスタイルが難しい難易度の高い靴です。さらにお手入れも難しく、手を抜くとすぐに輝きが失われます。それでも履きたいという人が多い独特な魅力を持つ革靴です。
ダチョウ革(オーストリッチ)
鳥類で最大の大きさを誇るダチョウの革がオーストリッチです。羽を抜いた部分が突起し、この丸い文様が美しいと人気の革です。オーストリッチの革靴は、柔らかくて丈夫で、使うほどに艶が出る美しさが特徴です。
蛇革(パイソンレザー)
美しいウロコが特徴的なパイソンレザー。エキゾチックレザーの中でも人気の高い革です。繊細で耐久力の低い印象がありますが、なめし加工されたパイソンレザーは丈夫です。
パイソンレザーの革靴は、その独特の模様から履く場所を選ぶ靴ですが、ワイルドで美しく人気が高いです。また、長く使っていくほどに深い飴色へと経年変化も楽しめる魅力的な特徴を持っています。
エイ革(スティングレイ)
泳ぐ宝石とも称されるエイの革、スティングレイ。革の中でもトップクラスの耐久性を持っています。まるでサンゴを敷き詰めたかのような美しい光沢が魅力です。
スティングレイの革靴は、とても硬く丈夫で耐久性に優れ、宝石のような輝きを放つ点が特徴です。劣化もしにくく、長く使える高級革靴です。
鮫革(シャークスキン)
サメの革であるシャークスキンは、なめしや染色が難しく革として仕上げるのに手間がかかり、捕獲量も少なくないので希少性の高い革です。サメ独特の網目のようなシボが特徴で、耐水性に強いです。
シャークスキンの革靴は、耐水性はもちろん、耐久性にも優れた丈夫さを持ち、長く使うほどに独特の艶と光沢が出る美しさが特徴です。