人気の革靴:ストレートチップの魅力と特徴
冠婚葬祭からビジネスシーン、さらにはカジュアルファッションまで幅広く使えるオールマイティーな革靴といえばストレートチップでしょう。1足あれば革靴が必要な場面のほぼ全てに対応できるため非常に人気のたかい種類と言えます。
今回はそんな、ストレートチップについて、魅力や特徴を詳しく解説していきます。
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ストレートチップ(Straight Tip)の革靴とは?
ストレートチップと呼ばれる革靴は、要するに革靴のつま先部分に横一文字のラインが入っている革靴のことを指します。
革靴のつま先にキャップトゥと呼ばれる芯を入れるために目安として施した線がそのままデザインになったという説や、入れた芯の跡が革靴に浮き出るのを防ぐために覆うようにキャップを被せたのが由来とされており、日本では一般的にこのタイプの革靴をストレートチップと呼びますが、海外では「キャップ・トゥ(Cap Toe)」と呼ぶ場合や「ストレートトゥ・キャップ(Straight Tow Cap)」と呼ぶ場合もあります。
革靴マニア人たちからは「クロスト(黒のストレートチップの略)」と呼ばれたり、「一文字」なんて呼ぶ人もいるほど、革靴の中では非常にベーシックな存在とされており、特に黒のストレートチップは最もフォーマルな革靴とされていて、冠婚葬祭だけでなくビジネスからデートまで幅広く使える特徴があります。
内羽根式のストレートチップが日本で流通されるようになった際に、モーニングなど昼間の儀式用の礼装に合わせる革靴という認識も一緒に広まってしまったせいか、日本では今でもフォーマル系のお堅い革靴という認識の人もいます。
ストレートチップ(Straight Tip)の魅力
ストレートチップの革靴がもつ魅力といえば、なんといってもオールラウンドに使えるところでしょう。
冠婚葬祭はもちろん、営業マンから革靴を使用しなければいけないオフィスワークまでビジネスシーンでも活用できますし、シンプルでドレッシーな印象のあるストレートチップは普段のカジュアルファッションにもマッチします。
特に外羽根式のストレートチップであれば、スーツやジャケットなどのかっちりしたビジネスライクなファッションから、デニムパンツなどのラフなスタイルでも合わせることができるため、初めて革靴を買うという人にもおすすめです。
まさに礼節と歴史の結晶とも言えるストレートチップ、革靴マニアならずとも1足は持っておきたい定番と言えます。
シンプルな出で立ちだからこそ、ブランドごとに個性が出やすく、また同じブランド内でも木型(ラスト)によって全く別物のような表情の違いを見せてくれるのがストレートチップの魅力といえます。
ストレートチップ(Straight Tip)の歴史
正確にストレートチップの革靴が登場した年号はわかりませんが、1800年代の中盤あたりで3〜4アイレットタイプのストレートチップの短靴が登場し、オックスフォードの学生たちを中心に流行していたと言われています。
1800年代後半に差し掛かるとストレートチップの人気は本格的となり、そこからしばらくは庶民的な革靴として世界中で多くの人たちが愛用するほど浸透しました、しかし第二次世界大戦を終えた1920年代に入るとストレートチップは昼間の礼装に合わせる革靴という認識が広まり、一気にフォーマルユースな革靴としての地位に登りつめます。
その認識とともに日本に入ってきたストレートチップは1980年代まで「完全にフォーマルな革靴」として広まってしまい、茶系のストレートチップはほとんど販売されておらず、大半が内羽根式のストレートチップでした。内羽根式のストレートチップの茶系が日本のお店で扱われるようになったのは、イタリアの装いに影響を受け始めた1990年代だとされています。
ちなみにその後、オールデンのモディファイドラストを使用した外羽根式のストレートチップが人気を獲得し、徐々ストレートチップはフォーマルな場面以外でも履ける革靴として浸透。いまではオールランドに使える革靴として認知されています。
ストレートチップ(Straight Tip)の種類
ストレートチップは大きく分けて内羽根式の革靴と外羽根式の革靴に分けられます。
内羽根式の場合だとモーニングなどの礼服に合わせられるほどの高いフォーマル度がありますが、外羽根式のストレートチップでも一般的な冠婚葬祭で使用する革靴として問題ありません。
普段は革靴なんて履かないけどとりあえず1足は持っておかなければならない、という人なら内羽根式のストレートチップを持っておけばあらゆる場面で使えます。仕事で革靴を履くけど、冠婚葬祭も全部使えるものにしたいという場合は履き心地のよい外羽根式のストレートチップを持っておくと良いでしょう。
また、ストレートチップは装飾の方法によっても名前が変わります。
つま先の一文字にブローギングと呼ばれる穴飾りがあるものを「パンチド・キャップトゥ」や「クウォーター・ブローグ」と呼び、キャップの一文字以外にも様々なブローギングやメダリオンの施されているストレートチップを「セミブローグ」と呼びます。
ブローギングの施されたストレートシップは「華やかな場面」にうってつけの革靴と言えますが、通夜や葬式といった慎む場には向かないので注意が必要です。