人気の革靴:チロリアンシューズの魅力と特徴
ハンドメイドの温もりを感じる無骨なスタイルが特徴のチロリアンシューズ。可愛らしい見た目とは裏腹に重登山靴に使われる製法で仕上げられた本格的なアウトドア系革靴として、ラギッドを愛する人たちから人気を得ています。
今回はそんなチロリアンシューズについて、魅力や特徴を詳しく解説していきます。
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チロリアンシューズ(Tyrolean Shoes)の革靴とは?
チロリアンシューズと呼ばれる革靴は、要するにモカシン縫いのつま先とノルウィージャン製法で作られたアウトドア革靴の事を指します。
革靴の甲を縁取るような厚手のモカシン縫いに粗めのステッチワーク、2ホールや3ホールのレースアップという素朴な作りが特徴で、アルプスのチロル地方のような斜度の多い土地の草原で働く牧童たちに履かれていた伝統的なチロリアンブーツ(Tirolean Boots)を原型として作られている革靴がチロリアンシューズです。
多くのチロリアンシューズには頑丈なラギッドソールが使用されており、本格的なチロリアンシューズはノルウィージャン製法と呼ばれる防水性と耐久性の高い製法によって作られています。雪や雨に強く軽登山の普段履きとしても愛されています。
もともとはアウトドア用として使用されていた革靴なため、ブーティーオックスフォードのようにワークブーツ系としてカテゴライズされることもありますが、ワーク系よりもカントリー調の雰囲気がチロリアンシューズの特徴です。
チロリアンシューズは、ビジネス用の革靴としては一般的に使われることはありません、もちろん冠婚葬祭も避けましょう。カジュアルな場面で活躍する革靴です。
チロリアンシューズ(Tyrolean Shoes)の魅力
チロリアンシューズの魅力は、なんといっても無骨なアウトドアスタイルと言えます。
ラギッドアイビーたちの足元を飾るにふさわしい、その潔いまでのタフな雰囲気はチロリアンシューズだけが持つ唯一無二な魅力であり、シンプルに見えるノルウィージャンウェルト製法も、知れば知るほどに複雑な工程と大量の革が必要であり、寒さの厳しい地域で育まれた登山靴だからこそのガッシリとした作りに惚れ惚れします。
そしてチロリアンシューズの持つもう一つの魅力は、一般的な糸よりも太い糸で行われるモカシン縫いを中心としたステッチワークでしょう。この目の粗いステッチこそが使えば使い込むほどに素朴で味わいのある雰囲気へとチロリアンシューズを成長させます。
洗練されていない革靴だからこそ味わえる、履けば履くほどに味わい深く、そして足に馴染むというよりも自分のライフスタイルに馴染んでいくような、そんな一生の相棒となってくれるのがチロリアンシューズの魅力です。
チロリアンシューズ(Tyrolean Shoes)の歴史
重登山靴製法で知られるノルウィージャン製法で作るチロリアンシューズは登山靴をルーツに持っています。
登山靴の歴史を紐解いていくと、最も古い情報は近代登山の創始者とも言われるオラス=ベネディクト・ド・ソシュールが1788年にモンブランのジュアン峠に登った時の銅版画となっており、この頃の登山には平野部で使うような靴とほとんど同じものを使って登山を行っていることがわかります。
そんな登山靴の歴史の中にチロリアンシューズが登場するかというとそうではなく、このことからチロリアンシューズが山を登るために作られた革靴というわけではなく、山で作業を行わなければならない人たちが独自に進化させていった革靴であることがわかります。
チロリアンシューズの起源がアルプスのチロル地方にあることはわかっていますが、いつどのタイミングで現代的なチロリアンシューズとなったのか、またチロリアンシューズはどのように変貌していったのかという歴史はいまだ良くわかっていません。
チロリアンシューズ(Tyrolean Shoes)の種類
基本的にチロリアンシューズにはこれといった種類分けがされていません。
タッセルローファーのように装飾されているチロリアンシューズや、コブラヴァンプのようにつま先が上がっている形状など、メーカーやデザイナーごとにチロリアンブーツをベースとした様々な革靴は登場していますが、どれも定番として定着はしておらず名前や定義付けがされてカテゴライズされている種類はありません。